書評 『ここが違った!株で稼ぐ人、損する人/著:冨田晃右』
2016/03/27
1200名以上のプロトレーダーを輩出
この本は、株式スクール冨田塾を運営し、これまでに1200名以上のプロトレーダーを送り出してきたという冨田晃右(とみたこうすけ)氏による、株式投資の入門書です。
全6章で構成され、第1章・第2章では、株で勝てない人・勝てる人、それぞれの特徴を列挙し、株式投資で勝てるようになるには、どういう思考・行動パターンを持つ必要があるかが説かれています。
第3章では、プロトレーダーに必要な心構え、第4章・第5章では、株価チャートの読み方・使い方、第6章では本書を読み終えた読者がステップアップするための道しるべが紹介されています。
各章をもう少し詳しく紹介します。
第1章・第2章
株で損をしている人・勝つ人の特徴と、その理由が解説されています。
著者によると、個人レベルの人が株で勝つには、株価チャートだけを見て取引を行うのが良いとのことです。
つまり財務状況や業績、ニュースなどを詳しく調べる必要はない、ということです。
また、株式投資のしくみとして、個人投資家がいわゆるカモになりやすい存在であることが解説されており、株式投資初心者は読んでおいた方が良い部分でしょう。
類書で見たことのないユニークな視点として、経営とトレードは似ているとのことで、起業・経営についてのビジネス書を読むと成功が近づくそうです。
将棋・麻雀・ポーカー・ブラックジャックなどのゲームについての本も役に立つそうです。
第3章
著者はプロトレーダーになることを勧めていますが、サラリーマンなど、本業をもつ人はその本業も続けることを推奨しています。
毎月の安定収入があることで生まれる心の余裕が、良いトレードにつながるということなのでしょう。
途中、20問からなるプロトレーダー度診断があり、「あなたは子供時代の思い出を語るのが好きですか?」など、まるで性格診断のような内容ですが、著者によると、株のトレードにはその人の性格・思考パターンがとてもよく出てしまうものなのだそうです。
勝てるトレーダーになるためには、性格・思考法を変える努力が必要になるかもしれません。
第4章・第5章
チャートの波の形を見て、「その形が過去のパターンにあったか、それはこれから上がる形か、下がる形か」を過去の記憶から探すのが冨田流とのことです。
ということは、チャートパターン一覧があって、それをドリルのようにいくつも覚えてしまえば、勝てるようになりそうですが、残念ながらそのようなパターン一覧は本書では示されていません。
著者によると、一介の個人投資家は、資金量の点でも、情報量の点でも、プロ集団のファンドや機関投資家にはかなわない、真っ当に戦っても勝てるはずは無い、とのこと。
ではどうするか。
著者の言葉を引用します。
プロの勝ち組の投資家たちが動くと、チャート上にその動きが表れます。その動きを見てそこに乗っかっていけばいいのです。自分自身で企業の状況や株価について考えるのではなく、チャート上に表れる動きに素早くついていくこと、これがトレードの真髄です。
ロスカットについては、逆指値注文の利用を推奨されています。
第6章
自分の中でトレードのルールを決めて、ただ一度の例外もなく守ることが大切とのこと。
そのほか、セミナーや情報商材に対する考え方も述べられています。
書名通りの内容 初心者は読むべき
「株で稼ぐ人、損する人」という書名が本書の内容をそのまま表しています。
勝てる人はどういう思考・行動パターンの持ち主か、負ける人はなぜ負けるのか、といったことについて深く学べる本です。
書名にアオリ・釣りがない点は好印象ですが、その分、具体的な冨田流チャートの読み方のテクニックはあまり解説されておらず、残念ではあります。
もっと深く学びたければ冨田塾に入塾してください、ということなのでしょう。
一部、林輝太郎氏・板垣浩氏らの著書にも近い内容を、初心者にも分かりやすく噛み砕いて書かれていますので、まだあまり株の勉強をしていない人は読んでおくべき本だと思いました。
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